福岡県宗像市の歯科・小児歯科・口腔外科・マイクロスコープ・セカンドオピニオン・訪問歯科
くりえいと歯科おおかわちクリニック 福岡県宗像市くりえいと三丁目3番1号 月~土9:00~17:30まで診療 最終受付17:00 ご予約はお電話番号0940-39-8020まで

実際の治療内容

神経を残す治療症例集

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注※ここから先は虫歯の写真や歯茎からの出血を伴う写真がアップで表示されます。
また、このページは当院の勤務医の先生達や、セミナーに参加してもらった歯科医師の先生、近隣の連携している歯科医院の先生など、歯科関係者に向けてのページでもあります。一部専門的な内容があり、難しいかもしれませんが、読み飛ばしながら気軽にご覧ください。

case2-1
下顎大臼歯の水酸化カルシウムとレジンによる間接覆髄治療

治療の流れ
虫歯除去~間接覆髄までの流れ
【概要】
虫歯を取るときに一気にたくさん削ればすぐ綺麗になるので治療時間も短くでき患者さんも楽ですが、削らなくても良い部分まで大幅に削ってしまうリスクがあります。歯は再生しませんので、そう簡単に一気に削って良いものではありません。よっぽどひどい全身疾患があったり高齢で体力の低下が激しく30分以上の治療に耐えられない等の理由がない限り、切削量を最小限に留めるため、時間をかけての治療を行うようにしています。ただ、これは若い先生にありがちですが、削らないことを意識しすぎて、虫歯が残ってしまってはいけません。覆髄治療の失敗は虫歯の取り残しが大きな要因となります。マイクロスコープで見ていると、特に虫歯周囲には多くのクラックが入っていることが観察できますが、削る刺激でマイクロクラックが進行し、取り損ねた虫歯と歯髄がクラック越しに繋がってしまうと、クラックから一気にたくさん入り込んできた虫歯菌と戦うために、神経が入っている空洞である歯髄の中に血液がたくさん集まり、うっ血して壊死を起こしたり、単純に菌に負けて神経が死んでしまったりしてしまいます。大事なことは、虫歯は徹底的に取り切り、健全な歯質の隙間(象牙細管)にしみ込んだもののみを水酸化カルシウム製剤等の覆髄材のアルカリ性で殺菌し、殺菌した後は中和され歯髄には無害であるというような機序を思い描いて治療することです。経験が浅い先生の場合は、熱心に頑張るあまり神経をやけどさせないようにも注意が必要です。やけどさせる位の熱が出ていた場合、歯質のクラックにもかなり影響を与えてしまっていると考えてください。前述した内容が頭に入っていれば、自然とそういったことさけるようになると思います。やることの丸暗記だけの治療にならないようにしましょう。
  • 【治療回数】
    1回 45分
  • 【方法と解説】
    銀歯の裏側に虫歯がありました。まず金属の詰め物を外し、接着材や汚れを取り除きます。虫歯は目で見て判断はできませんので、ニシカカリエスチェックという虫歯を青く染色する薬を使い、虫歯の取り逃しがないよう、また健全な歯をなるべく多く残せるよう意識しつつ少しずつ徹底的に綺麗にしていきます。若手の先生のよくあるミスとして、もう染色しなくなりましたというので見に行くと、接着材や汚れが全然取り切れておらず、染色液が歯質に届いていないということがあります。レジン系でもそうでなくても、濡れている状態では接着材は歯質と一体化しているように見えて確認しづらいです。しっかり乾燥させると、歯質と接着材の境目が浮いて見えてくるので、歯質に負担を与えないよう注意しながら丁寧に完璧に除去しきりましょう。また、真っ黒な歯質は染色しているかどうかかなり判断が難しいので、染色前と染色後で両方口腔内写真を撮影し、比較することで本当に染色していないのかどうかを判断します。
    神経に届く前に虫歯を完全に取り切りましたので、今回は通常の保険の材料でも使用するお薬(水酸化カルシウム製剤)を使用し、強度のある材料で補強(バルクベースを裏装)し、この日は終了となります。この後、セラミックもしくは金属といった強度のある材料で噛める歯に形づくっていく必要があります。
  • 【備考】
    レジンにアレルギーがある方にはできません。口を長く開けておくことが極端に苦手な方では精密な治療ができない場合があります。
  • 【費用】
    間接覆髄処置(自費:5000+税)

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